足の痛みは外反母趾が原因かも?靴のプロが対処法を徹底解説!
〜親指の付け根が靴に当たって痛い!外反母趾の原因と予防・改善について〜
こんにちは!《靴の共履マルゼン浅草》店長・靴コンシェルジュの根津です。
靴のプロとして店頭に立っていると、足の痛みにお悩みの方のご相談にのることが多々あります。
例えば、
「外反母趾で靴を探しているが合うものがなく、靴に指が当たって痛い」
「整形外科で足に合う靴を履いてくださいと言われたがどの靴が合いますか?」
「長時間立ち仕事なので、疲れにくいパンプスがほしいが見つからない」
などなど。
実際に足を拝見させていただくと、多くの方の痛みの原因が外反母趾です。
なかにはご自身の足が外反母趾であることに気づいておらず、
「足裏が痛く、固くなってきた」
「小さめの靴を履いていたら親指が変形してきた」
「今まで履いていた靴が合わない」
などのお悩みを相談される方も……。これらのお悩みの方もほとんどが、外反母趾が原因です。
そこで今回は、多くの方が悩んでいる「外反母趾」にスポットを当て、靴で外反母趾を防ぐ方法についてお伝えいたしましょう。
1.外反母趾ってどんな病気?
「近年急増しているという外反母趾。名前は聞いたことがあっても具体的にどんな症状なのかまで知らない方も多いのではないでしょうか。
まずはどんな病気なのかを知り、予防と改善に役立てましょう。
1-1.外反母趾とは
外反母趾とは、一言で言えば「足の親指が外側に曲がる」病気のことです。この曲がりがひどくなると、足が変形してしまい今まで履けていた靴が履けなくなってしまいます。
それでも痛みを我慢し無理な歩き方を続けると、姿勢が悪くなり、膝や股関節の痛み、腰痛、肩こりまで引き起こしてしまうことも。
外反母趾の怖いところは、例えば、原因であったハイヒールを履くのをやめて痛みが和らいだとしても、「親指の曲がりは歩くだけで自然に進行を続けてしまうところです。
つまり一度でも親指が曲がってしまったら、痛くなくなったからと油断をしてしまうのは禁物。加齢とともに変形は悪化し、忘れた頃に痛みが再発してしまうこともあるのです。
外反母趾が進むと、親指以外の指も外側に曲がります。
「槌趾(つちゆび)」は、母趾以外の趾の第二関節がZ型に曲がってしまう状態のことで「ハンマートゥ」とも呼ばれています。このように他の指にも痛みが広がると足自体が扁平足や開張足になり、最後には靴を履かなくても、痛くて歩けなくなってしまいます。
そうなってしまっては手術しか手はありません。さらに手術をしても、元の足に戻るかどうかも分かりません……。
だからこそ外反母趾は、事前にならないように心がけることが大切です。そしてもしなってしまったら、悪化しないように足に注意を払い続けることが、とても重要となるのです。
1-2.外反母趾のセルフチェックポイント
毎日元気に健康に歩き続けるためには、足の変化にいち早く気づき、対策することが大切です。まずは自分の足が外反母趾かどうか、以下のポイントでチェックしてみましょう。
□1.足の親指が外側に曲がっている
□2.足の親指が人差し指に重なっている
□3.足の親指の付け根の内側が痛い
□4.足の指の付け根の裏側に、タコができて痛い
□5.足が指の付け根で平たくつぶれ、横に広がって見える
□6.足の親指の付け根が広く、先はすぼまった菱形に見える
□7.足の小指の付け根の外側が痛い
□8.足の小指が内側に曲がっている
□9.足の指の第2関節が、曲がったままで伸ばせない
□10.足の指の先端や第2関節の裏側にタコができて痛い。
ちなみに1〜3に当てはまった方は外反母趾の症状ですが、4〜6は開張足、7、8は内反小趾、9、10は槌趾(つちゆび:ハンマートゥ)の症状です。これらも外反母趾に合併しやすい症状のため、注意が必要です。
外反母趾かどうかを正確に判断するには、親指の曲がった角度「外反母趾角」を測ります。
整形外科などの医療機関では、レントゲンを撮影し細かに計測してもらえます。自分でチェックする場合は、足の内側のラインで、親指の付け根の曲がった角度を測りましょう。
紙の上に立ち、親指の出っ張っている部分の前と後ろに定規を当てて2本の線を引きます。その角度を分度器で測ることで、おおよその外反母趾角がわかります。これが15度以上の場合は外反母趾であると考えられますので、一度整形外科で正確な外反母趾角を測ってもらうと良いでしょう。
1-3.外反母趾は靴での予防が一番
外反母趾は、一度発症してしまうと足のバランスが破綻してしまうことから、より曲がりやすくなるという悪循環におちいってしまいます。
こうなるといくら外反母趾の原因となった靴を履くのをやめても、どうしても歩くだけで徐々に進行してしまいます。
そのため、まずは自分が外反母趾になりやすいかどうかを知り、その上で予防することが重要となります。
外反母趾の大きな要因は「女性」「遺伝」「体質」「環境」であると言われています。女性は関節が柔らかいため、靴に押されたときに抵抗できず曲がりやすい傾向にあるようです。
また足の構造は遺伝的な要素も大きいことから、近親者が外反母趾であれば、可能性が高いことを意識しておくと良いでしょう。
性別や遺伝・体質は変えられませんが、環境だけは予防することができます。
特に遺伝的に外反母趾になりやすい女性に注意してほしいのが、ハイヒールや先の細い靴の着用です。
なぜこれらの靴が外反母趾になりやすいかと言うと、靴の中で指が内側から外側に向かって押される構造になっているからです。
さらにヒールが高くなればなるほど、足先にかかる体重の割合も増え、さらに足が前に滑り足先が靴に押し付けられる状態になり、指が変形してしまうのですね。
つまり外反母趾を予防するためには「靴選び」がとても大切になるのです。
1-4.近年増加傾向にある男性の外反母趾
外反母趾は女性に多いと述べましたが、近年は男性の外反母趾の方も増えてきていると感じます。お店でお客様の足を拝見させていただくと、男性で外反母趾の方の場合、以下の靴を履いていることが多いように感じます。
・幅広・紐タイプの調整できる靴
・実際の足のサイズよりも大きめの靴
・足の形に合っていない靴
・ロングノーズ系で先の細いスタイリッシュな靴
・革が柔らかい素材の靴
男性だからといって外反母趾にならないわけではありません。
現代人は、運動不足のため足の筋肉が衰えている人が多く、歩き方に偏りが出てしまい開帳足になってしまっている方もいらっしゃいます。
5本指の付け根を横に結ぶアーチが崩れ、足が横に広がってしまう開帳足は、外反母趾の原因にもなります。
女性だけでなく男性も、足の変化にいち早く気づき、正しい靴を選ぶ必要があります。
2.外反母趾の正しい靴選び
外反母趾の痛みの原因の多くは、間違った靴の選択です。ご自身の足にしっかり合った靴を選び、外反母趾の痛みから足を守りましょう。
2-1.外反母趾の靴の選び方
靴を選ぶときの第一のポイントは、夕方に選ぶということです。
夕方になると一日歩いた足はむくんで、朝よりも0.5cmほどサイズが少し大きくなるからです。
そしてサイズですが、足の長さだけでなく、ワイズ(足囲)、ボールジョイント(親指と小指の付け根)の幅と位置、アーチの位置などまでしっかり把握しましょう。
10人にひとりは左右のサイズが違うと言われています。片足だけでなく両足で計測してください。
またサイズ計測は、立った状態で行います。
そして実際に靴を履いて5分以上歩き、靴が前後にズレないこと、踏み変えしで靴が曲がらないこと、かかとが浮かないこと、食い込まないか、などをチェックしましょう。
2-2.ギリシャ型・エジプト型と外反母趾の関係性
足の形は人さまざまで、つま先で大別されます。第二趾である人差し指より母趾が短い足が「ギリシャ型」、反対に母趾が長い足が「エジプト型」、そしてほぼ同じ長さの足を「スクエア型(方形型)」と呼んでいます。
親指である母趾が長いと靴で押されやすいことから、以前はエジプト型の人は外反母趾になりやすいと言われていました。しかし近年の研究では、この説には証拠がないとも言われているそうです。
つまりギリシャ型の方も、外反母趾になる可能性はあるということ。油断せず、足の指の状態を定期的にチェックしましょう。
2-3.外反母趾が痛い時のコンフォートシューズの選び方にご注意
最近、さまざまなメーカーから「コンフォートシューズ」と呼ばれる足にやさしい靴 が販売されています。
ただなかには、単に幅広の靴をコンフォートシューズと呼んでいるものもあります。
実は外反母趾は、痛みが軽減されるからといって、幅広の靴を選べば良いというわけではありません。もちろんワイズがきつすぎても良くないのですが、外反母趾の予防・進行防止のためにはゆるすぎてもダメと言われています。
むしろ外反母趾になりかけている初期段階の人には、指の付け根の母趾部分にぴったり合っているくらいのワイズのほうが、足がしっかり支えられて進行防止になります。
もともと外反母趾は、この母趾付け根部分よりも先の、指の先端が入る部分が細くて狭いことが原因で発症します。そのため、指の付け根部分がピッタリフィットしていても、その先の指が自由に動かせる状態であれば、外反母趾が発症することはありません。
むしろ外反母趾を予防するためには、第一(親指)中足骨が内側に広がることを抑える必要があります。そのため、ワイズがピッタリのくつで、きちんと第一中足骨を固定させることが重要なのですね。
2-4.外反母趾の女性にオススメの靴ブランド
それでは実際にどのようなコンフォートシューズが外反母趾の痛みを軽減し、予防や進行防止に手助けしてくれるのでしょうか。
《靴の共履マルゼン浅草》でも人気が高い、外反母趾にオススメブランドをご紹介しましょう。
2-4-1.トパーズ(世界長ユニオン)
靴医学の権威である、慶應義塾大学整形外科教授 井口博士が監修した、>外反母趾にやさしい靴ブランドがトパーズです。
当店でも人気ナンバーワンのウォーキングシューズで、歩きやすいと評判です。つま先がゆったりしており、3D構造インソールで足裏をしっかりサポート。コルク配合底で滑りにくいのも特徴です。
外反母趾でお悩みの方に自信を持っておすすめできる、リピーターの方も多いコンフォートシューズです。
2-4-2.テクシー(アシックス商事)
シンプルさの中にセンスを取り入れたデザインとスポーツテクノロジーを融合させたアシックス商事の靴ブランド、テクシー。
ウォーキング用からデイリーカジュアル、エレガントシーンで活躍するきれい目シューズなどラインナップも豊富です。
綺麗でラクチンな、履き心地の良いコンフォートシューズです。
2-4-3.AIR RUN(ヒルトン製靴)
「ヒルトン製靴のAIR RUN」は、神戸の老舗メーカー靴職人が考えた、履き心地、安定感、歩きやすさを追求したコンフォートシューズです。
職人が一足ずつ、丁寧に手作りでつくり、靴のしなやかさを実現。
さらにやわらかなストレッチ素材でつま先の圧迫も軽減しており、外反母趾の方も安心して履くことができます。
2-5.外反母趾でもオシャレに手を抜きたくない!そんな方にオススメの靴ブランド
それでは実際にどのようなコンフォートシューズが外反母趾の痛みを軽減し、予防や進行防止に手助けしてくれるのでしょうか。
《靴の共履マルゼン浅草》でも人気が高い、外反母趾にオススメブランドをご紹介しましょう。
2-5-1.LadyWorker(アシックス商事)
「ライバルはスニーカー」をキャッチコピーに、歩きやすく立ちやすいオフィスシューズを展開するブランドです。
歩く、立つの動きにフィットした設計で、広めの接地面の安定したヒールも特徴。色やデザインも豊富で、好みの一足がきっと見つかります。
2-5-2.footsuki(アシックス商事)
footsukiシリーズは、足当たりがやわらかで、しめつけ感を軽減するゆったりとした設計のパンプスです。
医師108名にサンプリングしアンケートを実施したところ、89%の医師が足にやさしい歩きやすい靴を求めている人にすすめたいと回答。足への負担が少ないながらも、大人のオシャレにもしっかりハマる、オシャレなコンフォートパンプスです。
3.外反母趾を靴で予防・改善する
外反母趾を靴で予防・改善するためには、単に幅広の痛みの無い靴を選ぶのではなく、もともとの足の形に合わせた靴を選ぶことが大切です。そしてこれらの方法で靴を矯正することで、靴が足全体にフィットするようになります。
そして外反母趾の痛みの改善だけでなく、足を側面から支えてくれるのです。
3-1.靴を補正して外反母趾から足を守る
通常の足にピッタリ合う靴が見つかっても、外反母趾が進行している場合、親指の付け根が靴に当たって痛みます。
このように足の変形のために合わない場合は、靴のどこが当たっているのかを確かめ、靴の革を伸ばして膨らませることができます。
主に以下の3つの方法が挙げられます。
3-1-1.シュースプレッダー
靴に当たる部分を、やっとこのようなシュースプレッダーという器具で押し広げます。靴屋さんなどで当たる部分を確認した上で、広げてもらいましょう。
3-1-2.シューズストレッチャー
靴の中に木型を入れ、バネやネジの力で靴の中から革を広げる器具です。長時間かけて革を伸ばすので、無理なく形を整えながら伸ばすことができます。
3-1-3.革の軟化スプレー
最後の微調整に適しているのが革の軟化スプレーです。シュースプレッダーやシューズストレッチャーで伸ばした出っぱりを、より自分の足の出っぱりに合わせるために行います。靴を履いた上から当たる部分にスプレーすることで足に合わせて革が伸びます。
4.軽い外反母趾は靴で改善できる
外反母趾と靴との関係、そして改善方法を、今までたくさんの靴と足の悩みを解決してきた《靴の共履マルゼン浅草》店長の根津がお伝えいたしました。
歩けないほど悪化している場合は、薬や手術などの方法もありますので、整形外科など足の専門医へのご相談をオススメします。
初期段階の外反母趾の場合、正しい靴選びで予防や改善ができることが分かりました。対策は早ければ早いほど良く、ご自身の足で元気に健康に、歩き続けることができます。
《靴の共履マルゼン浅草》では、お店やお電話で、靴のコンシェルジュによる靴の購入相談を承っています。お気軽にご利用くださいね。